富士フイルムの標準単焦点レンズ XF35mmF1.4 Rのレビューです。
2012年2月18日にXマウント最初の単焦点レンズとして発売された最古のレンズです(他にXF18、60が同時発売)。
約10年前ということもあり古さを感じてしまいますが、現代では中々味わえないオールドレンズライクの写りと全群繰り出しによる画質の良さから、Xマウント神レンズの1本として常に人気ランキングの上位に存在しています。
神レンズの評価に対して、「AFがうるさい」とか「動画には向かない」とか「変なボケ方」などと不満を述べられる方も多い本レンズ。
僕もとても気になっておりますので、今回はカメラレンタルのサブスクリプションサービス「GooPass」さんよりレンタルしてみましたので重量測定や使用感を作例などを交えてご紹介しますよ。
ホントに神レンズ!?
FUJIFILM フジノンレンズ XF35mmF1.4 R レビュー
レンズスペックチェック
- 焦点距離:35mm(35mm換算52.5mm)
- 解放F値:F1.4
- 最短撮影距離:28cm(最大撮影倍率:0.17)
- 画角:44.2°
- 最大径×長さ:65×54.9 mm
- 構成レンズ枚数:6群8枚
- 絞り羽枚数:7 枚
- フィルター径:52mm
- 重量:187g (フードとキャップを除く)
- 鏡筒材質:金属
- 防塵防滴:無
- 付属品:前後キャップ、レンズフード、フードキャップ、ラッピングクロス
レンズ型式についてですが、XFがシリーズ名、35mmが焦点距離、F1.4が解放F値、Rが絞りリング有ということを示しています。
これに加えてリニアモーター駆動AFなら「LM」、防塵防滴なら「WR」が付きますが、本レンズにはこの表記はありませんので、「全群繰り出し式AF」で「非防塵防滴」ということになります。
外観チェック
お楽しみのレンズ外観チェックからいきましょう。
APS-Cの標準レンズということもあり非常にコンパクトなサイズに仕上がっています。
手の大きい方ならすぽっと覆えるサイズ感ですね(ちなみに僕の手は小さいです…)
レンズ先端側にあるリングはマニュアルフォーカスリング、手前にあるリングは絞りリングとなっており、絞りリングの方には絞り値の表記が入っています。
XF14mmの時にあったマニュアルフォーカスクラッチは搭載されていないシンプルな外観です。
金属製の角型レンズフードが付属してきます。
樹脂フードでは成しえない薄くシャープなデザインが良いですね。
純正で角型なのはライカ風でカッコよく、X-Tシリーズ、X-Proシリーズ問わずに似合う外観かと思います。
ただこのレンズフードはその形状から一般的なフードのように逆付けでコンパクトにすることができず、フードを付けた状態でレンズキャップをすることもできません。(レンズキャップを付けた状態でフードを取り付けることはできる)
そのためフードを付けた時でもキャップができるように、フード自体に蓋をするゴムキャップが付属してくるのですが、なくされる方も多いらしくレンタル品には付属してきませんでした(笑)
幸いフード自体にそれなりの深さがあり前玉に触れにくいので、ここはもうレンズ保護フィルターを用意して、フードをつけっぱなしかつキャップ無しで運用するのが一番スマートかと思います。
ちなみにフィルター径は52mmです。ハクバのフィルターがおすすめです。
ちなみに金属フードを外した姿はこんな感じ。
角型フードを付けた時のデザインを重視して作られているため、フードを外すとちょっと先細りなデザイン。
マイクロフォーサーズレンズだったらバヨネット部を隠すデコレーションリングが付属することが多いのですが、本レンズにはそういうものは付属しませんのでお世辞にもカッコいい形とは言えませんね(笑)
ますます金属フードつけっぱで運用したい気分です
重量チェック
フード、保護フィルター、前後キャップを付けた可搬状態で234gとF1.4で金属ボディの割には非常に軽量です。
旅行の際に一本持って行っても全然苦にならない重量ですし、レンズ自体も小さいので鞄に忍ばせておいても邪魔になりません。
前後レンズキャップを外し保護フィルターとフードを付けた使用時の状態で212g、うーん軽い。
ちなみにフードは12g。
金属製なので重いと想像していましたが、こちらも軽く仕上がっています。
角型フードはシャープな金属製が良いですよね。ぶつけて塗装がハゲるのはちょっとイヤだけど。
X-T4と組み合わせてみました
メインで使っているX-T4に本レンズを装着してみました。
クラシカルな見た目のレンズですが、X-T4とのマッチングは非常に良いです。ネオクラシックといった感じ。
レンズの長さのバランスもよく付けているとついつい眺めたくなる美しい外観です。
X-Proはもちろん、X-S10などでも似合うと思います。
ちなみにX-T4にバッテリーとカード2枚、写真のピークデザインアンカーリンクスを付けた状態にこのレンズを合わせた総重量は「615g+212g=827g」と非常に軽いです。
これはお散歩カメラとしてもベストな重量感ですね。
駆動音、AFなどはどうよ?
多くの方が気にする全群繰り出しによる駆動音とAFスピードですがどんなもんでしょうか?
ジーコジーコなんて言わねぇよ
よく本レンズのAF駆動音を「ジーコ、ジーコ」と表現する方がいらっしゃいますが、そんな音はなりません。
「ガッ、ググッ!!」
こんな音がなります。
X-Trans CMOS4になってから全群繰り出し式XFレンズのAFスピードが大幅に上昇したらしいのですが、そのせいもあってかAF駆動音は短い音がグッとなるような印象です。
そのため個人的に駆動音がうるさいなぁとは感じません。以前愛用していたマイクロフォーサーズ用レンズ「Lumix 20mm F1.7」の方が駆動音が長かった印象です(音量はXF34mmの方がでかい)
とは言ってもインナーフォーカス式に比べると音はなりますので、心配な方はレンタルや実店舗で確認してみましょう。
ちなみに鳩が豆鉄砲を食らったように飛んでいくとさえ言われるペンタックスのAF駆動音に比べたらはるかに静かですよ(笑)
スチルする分には気にならないAF速度
これもX-Trans CMOS4のおかげなのか、AF速度も個人的に気になることはありませんでした。十分速いです。
最初は全群繰り出し式ってAF-C使えるのかなぁとすら思っていましたが、問題なく使えます。
被写体が前後に動き回らない限りAF駆動音も静かですよ。
なので、X-Trans CMOS4 の機種をお使いの方は駆動音やAF速度はあまり気にされず導入を検討されて良いかと思います。
作例など
身近な場所でスナップしてみましたので、その時の作例をいくつかご紹介。
花を解放で撮ってみました。真ん中の花にフォーカスしています。
ピント面は非常にシャープですがそうでない所はブワっと輪郭がつかめないほどに大きくボケるのが本レンズの特徴です。
この滲むようなボケがオールドレンズライクで人気があるんですね。
ちなみに前ボケのほうが特徴的なボケ方をします。以下の作例をどうぞ。
ナニコレという写真ですが、これは解放で遠景にピントを合わせて手前にモミジ(?)を入れたものです。
完全に葉が溶けたような見た目になってしまっています。
このボケ方こそが本レンズ最大の特徴で、これをうまく利用すれば非常にノスタルジーな、今風に言えばエモい写真が撮れるわけですね。これは中々難しいなぁ。
ちなみに先ほどの写真でぼかしていた被写体はコレ。
F1.4でさらに接写などをするとポヤポヤする描写をする本レンズですが、すこし離れてちょっとでも絞ると中々シャープな絵が撮れます。
緑の色や葉のシャープさがいい感じです。単焦点で良かったと思う瞬間。
こちらはF5.6まで絞ってみました。
屋根の瓦など非常にシャープに描写できています。
換算52.5mmということもあり今時のスマホで慣らされた自分達には少し狭めな描写範囲。
いつもより5~10歩ほど離れて撮りましょう(笑)
特徴的な前ボケですが、うまく使えば印象的な写真も撮れるハズ…ですが、ある程度練習が必要ですね。
ちなみに僕は自転車旅や風景写真が多いのでフィルムシミュレーションは「ベルビア」をメインで使っているのですが、このレンズは描写の傾向からも「クラシッククローム」「クラシックネガ」「エテルナ」など彩度が低めのものが向いていると思います。
歪曲はわずかな樽型といった感じですがそれほど気になるということもありません。
解放F1.4ということもあり夜スナップなどでも使いやすいです。
ただ被写界深度とレンズ特性の都合から全体的にシャープな絵を撮るのは難しいので、頑張ってエモい感じを狙いましょう(無茶言うなw)
こちらも解放F1.4。普通こういうのはF5.6程度に絞りたいものですが…なんとなく絞りを開けたくなるのが単焦点の性…。
まだまだ使いこなしていくのは難しいなぁ…
これからもカメラを頑張って練習していきたい所存です!
神レンズではあるが人を選ぶレンズでもある
「普段60点でもたまに95点が出る」とこのレンズを評価する方がいらっしゃいますが、自分もまさしくそうだと思います。
使っていてう~ん…?みたいな時もありますが、たまに「これすげぇ」という写真が撮れます。
以下に本レンズが向いているシチュエーション、向いていないシチュエーションをまとめました。
- ポートレート(女性、子供が特に向いている)
- 彩度の低いフィルムシミュレーションをメインに使う場合(描写傾向と色の雰囲気が合っている)
- 逆行など光を入れて柔らかい印象で撮影する場合
ポートレートは個人情報もあるので本ブログには載せていませんが、本当にいい写真が撮れました。
コスプレ撮影やペット撮りに使ってもいいんじゃないんでしょうか。
- 風景写真
- 建物写真
- 接写を伴う物撮り
- 彩度の高いフィルムシミュレーションをメインに使う場合
風景や建物などを解放で撮ると、その溶けるようなボケ描写により妙に甘い写真になりがちです。
かといってF4.0以上に絞ると、色のりやシャープ差はあるものの撮れる写真がズームレンズで絞った時とあまり変わらない雰囲気に仕上がってしまいます。
また接写時のボケ描写も変わっているのでブツ撮りなどにも向いていません。
接写時の甘い描写は絞ってもそれほど改善しないので、これはもうレンズの特徴ですね。
先ほども書きましたがフィルムシミュレーションのベルビアなど彩度が高い描写といまいちマッチングしませんね。このレンズで良いな!と思った写真の多くはクラシッククロームやモノクロで撮られていることが多いです。
ちなみに上記の35mmF1.4が向かないシチュエーションで撮影したい場合は、XF35mmF2.0の方がおススメです。
こちらは解放からシャープな描写かつ防塵防滴なのでより汎用性が高くなっていますよ。
多分僕の使用シチュエーションではXF35mmF2.0の方が向いている
富士フィルムらしさが最も楽しめるレンズ
今時のレンズユーザーであれば甘い描写と言いたくなるかもしれませんが、時々素晴らしい写りや普通のレンズでは味わえない描写をする本レンズ。
ルックスも良いので富士フィルムらしさを楽しむ最初の1本としていかがでしょう?
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