CANONのコンデジ「Power Shot G5X Mark II」を買ったのでレビューします。
先代のG5Xからポップアップファインダーを装備した箱型ボディにモデルチェンジし、さながらソニーのRX100のような見た目になりました。
先代ファンからは微妙な反応もありますが、使いやすい24-120mm F1.8-2.8の明るさと望遠端でも最短20cmの撮影距離を持つレンズは使いやすさ抜群です。
それではさっそく外観チェックからいきましょう。
G5X MarkIIの外観をチェック
前面
先代のペンタ部付きミニ一眼レフのような見た目から箱型ボディになりました。
先代の可愛い見た目を好んでいる方も多いですが、その気になればコートのポケットに入れたり鞄に忍ばせても邪魔にならないフォルムは大きなメリットと言えます。
背面
背面はこれまでのキヤノンユーザーなら馴染みやすいインターフェイスとなっています。
四つあるボタンの右上は動画録画ボタンです。昨今のVlogブームに合わせて録画ボタンが一等地に移動しました。
そのくせマイク端子がないのは何かの間違いか!とツッコみたくなりますが…(確か同時発売のG7X MarkIIIには付いています)
十字キーはホイール式となっていますので絞りやシャッタースピードと言った値をモード時に合わせて設定を変えることが可能です。
露出補正ダイヤルが独立しているので撮影前に設定を変更することが可能。
ダイヤルのクリック感は薄めですが誤動作しにくい硬さと親指で操作できるレイアウトは評価できます。
モードダイヤルで選べる項目は従来のキヤノンコンデジと変わらないと思います。
バリアングルからチルトになった液晶
G5Xから大きな変更となったのが液晶のチルト化。
実質退化じゃないかと憤る先代オーナーもいらっしゃったようですが個人的にチルトは大歓迎。
バルアングルは便利ですが撮影時に光軸がずれるのがどうにも納得できません。
G5X MarkII のチルトは液晶面が上方向に180度回転し自撮りにも対応していますので、正直バリアングルより使いやすいと思います。(自撮り時に目線もずれませんしね)
チルトはこのようにガバっと開けるのでウエストレベルの撮影でも使いやすいです。
アームの剛性もほどよく操作していて不安はありません。
ハイレベルでの撮影時にはこれくらい液晶を寝かせられます。角度でいうと45°いかないくらいです。
コンデジは旅行等で大活躍してくれますが、観光地など人が多くいる中での撮影にはカメラを高く持ち上げても液晶が見える下向きチルトがありがたいですね。
液晶はタッチパネル式となっており、ボタンの少ないコンデジでメニューやAFをスマートに使いこなすにはタッチ操作が必須と言えます。
個人的にタッチ操作の滑らかさと自由度の高さNo.1はパナソニックで時点はキヤノンです。G5X MarkIIも非常に滑らかなタッチ操作が可能で使っていて気持ちいいですよ。
ファインダーはポップアップ式
RX100シリーズよろしく本体左サイドのレバーをおろすとファインダーがポップアップします。が…
ポップアップ後は接眼部を引き出さないといけません。
約一年前に発売されたソニーRX100M6がポップアップと同時に接眼部までせり出しつつ電源のON、OFFまでできるのに対して、後発なのにM5と同じワンアクションが必要なのは特許の絡みでもあるのでしょうか。
ここはレバー押下のみで使用可能な状態まで作動して欲しかったところです。
ただ、ポップアップ式ファインダーは普段ファインダーを収納しておくことができるので、自転車や登山と言ったスポーツ用途で使う場合、ファインダーが汗で曇りにくい点はグッドです。
ファインダー上部の視度調整レバーはしっかりしており、ポップアップ動作でズレたりはしません。
0.39型・約236万ドット・有機ELとミドルクラスミラーレスに匹敵するファインダーは非常に見やすく撮影に集中することができます。
やっぱりカメラにはファインダーがないとダメですね
ファインダーの視野率は100%、アイポイントは20mmあるので眼鏡をかけていても安心してフレーミングに集中できます。
簡易バウンス可能なフラッシュ付き
ポップアップ式フラッシュは見た目も構造もRX100シリーズと全く同じです。
フラッシュ部を上に向けることもできるので簡易バウンスを行えるのは大きなメリットです。
クラストップの持ちやすさのグリップと貼り革
G5X MarkIIのとにかく素晴らしい点の一つが持ちやすいグリップと手に吸い付くような感触の貼り革です。
サムレストの引っかかりや尖った形状のグリップは中々考えられており気持ちよくカメラを構えることができます。
コンデジは色々触ってきましたが、個人的にはG5X MarkIIが最も気持ちいいグリップだと思います。
新設計の換算24-120mm F1.8-2.8 の明るいレンズは唯一無二
レンズは新設計となり35mm換算24-120mm F1.8-2.8となりました。
使いやすいズーム域に対してF2.8の明るさと実用を考えるとRX100シリーズより優れています。
1型センサーといえどもできる限り低ISOで撮りたいですからね!
マクロ性能も非常に向上しており、望遠単でレンズ端から最短20cmまで寄れるのは接写に強いマイクロフォーサーズもびっくりです。
レンズ外周部のコントロールリングはモードに合わせた設定変更(例えばAvモードでは絞りが変えられる)が可能な他、設定でステップズームやコマンドを割り当てることができます。
同時発売のG7X MarkIIに対してこちらのレンズのコントロールリングにはクリック感があります。
ステップズームや設定値変更の操作は非常にやりやすいですが、MF時のピント合わせは少し違和感があるかもしれません。
レンズの伸び具合
ワイド端で本体背面~レンズ前端までの厚みは7.5cm。
テレ端で本体背面~レンズ前端までの厚みは9cmとなっています。
本体に対してレンズが軽いのでテレ端でもレンズ側が傾いたりはしません。
RX100M6とスペックを比較してみましょう
価格.comで現在価格の近いSony RX100M6とスペックを比較してみました。
比較スペック | G5X Mark II | RX100M6 |
---|---|---|
有効画素数 | 2010 万画素 | 2010 万画素 |
センサーサイズ | 1型 | 1型 |
光学ズーム倍率 | 5倍 | 8倍 |
35mm換算ズーム域 | 24-120mm | 24-200mm |
F値 | F1.8-2.8 | F2.8-4.6 |
ファインダー動作 | 2アクション | 1アクション |
USB充電 | 可(PD充電器が必要) | 可 |
撮影枚数 | 210枚 | 240枚 |
最短撮影距離 | 5cm | 8cm |
シャッタースピード(メカ) | 1~1/2000 秒 | 30-1/2000 秒 |
シャッタースピード(電子) | 1/25600 秒 | 30-1/32000 秒 |
起動時間 | 1.1秒 | 1.4秒 |
4K動画 | 対応(29.97 fps) | 対応(30 fps) |
顔認識 | 有 | 有 |
AF自動追尾機能 | 有 | 有 |
手ブレ補正機構 | 光学式 | 光学式 |
セルフタイマー | 10/2秒 | 10/5/2秒 |
Wi-Fi | 有 | 有 |
Bluetooth対応(常時接続) | 有 | 無 |
充電端子 | USB-TYPE C (PD規格) | マイクロUSB |
幅x高さx奥行き | 110.9×60.9×46 mm | 101.6×58.1×42.8 mm |
重量 | 総重量:340g | 総重量:301g |
全体的にRX100M6の方が勝っているように見えますが、RX100M6のほうが元値がだいぶ高いのとレンズ性能や明るさではG5X MarkIIの方が一歩上と言ったところでしょうか。
サイズや重量全体的にG5Xの方が大き目&重めですが、正直カメラの操作性という観点で行くとRX100シリーズは小さすぎるので、収納を覗けば持ちやすさや操作性でG5Xの方が有利と言えます。
レンズの明るさより望遠ズーム域とAF性能を取る場合はRX100M6を狙うのも大いにありでしょうね。
僕はGooPassレンタルでRX100M6を使いましたが、200mmの使い勝手は良い物でしたよ!
作例
色々写真を撮ってきました。ちなみにほとんどがRAW撮影してLigntroomで編集しています。
静岡県は御前崎灯台での一枚。
この写真になんの意味があるのかというとテレビアニメ「ゆるキャン△」 2期の放送で聖地になったんですね(笑)
ロードバイクに乗って聖地巡礼してきました。(聖地になる前から正面の自販機はめちゃくちゃ使っているw)
こちらもゆるキャン△の聖地、アニメで出てきた茶屋さんのモデルになったきみくらというお店です。
1型センサーに加えて描写の良いレンズなので木目や建物のラインがビシっと出ていることが分かると思います。
茶畑です。F5.0まで絞っています。
キヤノンのコンデジのレンズは割と無理な設計をしているのか少し周辺が流れやすい印象。
この写真でも右下の茶畑の葉に少し流れが見られると思いますが、荒探ししなければ十分許容範囲化と思います。
換算120mmは物体を歪み泣く捉えることができるのでロードバイクの撮影にもピッタリ。
24-120mmのズーム域があればロードバイクでの撮影はかなり捗ります。カメラも軽いので100km走っても疲れ知らず。
ポップアップファインダーは普段カメラの中にしまっておけるので汗や湿度でファインダーが曇ったりしないのは大きなメリットです。
マクロに強いのもG5X MarkIIのメリット。最大撮影倍率は0.47倍とハーフマクロ並みで寄り放題です。
ただし電子補正を駆使してまっすぐはまっすぐに矯正するRX100シリーズに対して、G5X MarkIIは接写時の歪曲をそれほど過度に補正しません。
そのため水平、垂直がはっきりした被写体を寄って撮る場合や、カッターマットなど規則正しいマス目が入ったものの上で物撮りをする場合は周辺の歪曲が気になります。
接写時の描写は絞っても少し柔らかい印象ですね。
反面遠景撮影時は被写体を非常にシャープにとらえます。
ISO125などで撮れる場合はマイクロフォーサーズカメラに肉薄する画質と表現力になりますよ。
同じタイミングで同じ被写体を違うカメラで撮影したところ、G5X MarkIIの方が明るめで撮れる印象でした。
これはキヤノンの絵作り思想によるものでしょう。EOS M6などのキヤノンエントリーミラーレスでも同様の撮れ方をするようですね。
そのため被写体によっては背景の空が白飛びしやすいので、JPEG派は「高輝度、階調優先」をONにしておくと幾分マシになるかと思います。
コントラストAFのみで位相差AFは積んでいません。
AFポイントも少ないですが写真のようなコントラストの強い静物であれば精度よくAFしてくれます。
ただ採用しているセンサーがRX100M4のものと同じらしいので、AF(特にAF-C)の性能はRX100M6意向のRX100シリーズには大きく差を開けられています。
僕はポトレはめったにしないし、動体も連射もしないのであまり気にしていないですが。
AF点が少なくAF枠が大きいので上の写真のような奥行に対して細い被写体が交差するようなシチュエーションでは少しおバカなAFをする時があります。
程よく使いやすいサイズに自撮りも可能なチルト液晶、便利な光学5倍ズームに明るいレンズは旅行でも大活躍。
バッテリーの消耗が速く撮影可能枚数が少ないのがネックですがUSB給電に対応していますので要所要所で充電すれば問題ないと思います。
G5X MarkIIの充電規格はUSB PD(パワーデリバリー)規格のため、直接充電する場合は対応したTYPE Cコネクタを持つケーブルとモバイルバッテリーが必要になります。
最近はパワーデリバリー規格の充電器も安くなってきましたので1台持っておくと良いですよ。
本体にはUSBケーブルが付属しないケチ臭い仕様なので、PD対応ケーブルも買っておきましょう。
予備バッテリーを用意する場合、互換バッテリーはエラーが出るため純正品の購入をおすすめします。
こちらはISO1600の高感度撮影。
圧縮した画像だと気になりませんが、RAWで等倍鑑賞すると中々のノイズ量ですので常用ISOは800までで抑えたいところです。
こういう美しい景色に出くわした時さっと撮れるのが持ち運びやすいコンデジのメリット。
カメラは持ち歩かないと意味がないですからね。
なんやかんやと書いてはいますが、1型センサーを搭載するカメラの中ではトップの画質と言ってよいでしょう。
特に夕方や夜景などではレンズの明るさが生きてきます。その辺はRX100に対して大きなアドバンテージですね。
良い景色が手軽に納めらられるコンパクトカメラはやっぱりいいものです。
高画質と使いやすいレンズが両立したナイスカメラ
ソニーに続いてキヤノンからも発売された全部入りコンデジ。
レンズ性能、色、絵作りはキヤノンのそれなので旅行や日々のスナップを中心に楽しまれる方にイチオシしたいカメラです。